重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

読書メモ、探求メモなど。

思考整理メモ:30年後も読まれる本を育む、「本の文化」のアップデートを夢想する

今、生涯でかつてないほど家にいる。しかも、数か月後の未来が予想できず、どんな優先度で何に取り組めばいいかもよくわからなくて、そわそわする。 そんななか、改めて「本」の良さを実感している。家にいながら心休まらない日々でも、本にはどこか安定感が…

読書メモ:意識の神秘を暴く(ファインバーグ&マラット 著、鈴木大地訳)…進化的起源から解明される意識の謎

意識の神秘を暴く: 脳と心の生命史 作者:ファインバーグ,トッド・E.,マラット,ジョン・M. 発売日: 2020/04/16 メディア: 単行本 『意識の神秘を暴く(Consciousness Demystified)』は、そのタイトルが示すとおり、 意識現象の科学的解明を目指した一冊であ…

思考整理メモ:「科学」と「人生の問題」の関係はどうなっているのか?

※下記は、ここしばらく考えていることをまとめた、ラフスケッチとしての文章です。まだまだ考えが至らない点があると思いますので、ご批判・コメントをいただければ大変幸いです。 ※誤植修正や表現の改善等の微修正は今後も行う予定です(4/22) 科学の二面…

開催記録メモ:「会わない(読んで書くだけの)読書会」という試み

先月、ふとした思いつきで、とある「読書会」を企画しました。題して、「会わない(読んで書くだけの)読書会」。その名のとおり、「会わずに、オンラインで」読書会をしてみようという試みです。これが、やってみると面白かったので、ここに体験談として書…

読書メモ:Galileo's Error (by Philip Goff)…なぜ意識の科学に「汎心論」が必要か

Galileo's Error: Foundations for a New Science of Consciousness 作者:Goff, Philip 発売日: 2019/11/07 メディア: ペーパーバック 心の哲学や意識の科学をフォローしていると、最近「汎心論」という言葉をよく聞く。心の哲学における汎心論とは、「意識…

収集メモ(随時更新予定):科学と哲学の「対立」と「協働」にまつわる文献・リンク集

自分の整理用に、科学と哲学の協働の可能性について論じられた対談、論考、もしくは科学と哲学の「対立」が際立った事案などを集めてみました。 ※随時更新予定。他にも「こういうのもあるよ」というものがありましたら、ぜひご教示ください。 科学と(科学)…

読書メモ:デジタルで読む脳×紙の本で読む脳(メアリアン・ウルフ著、大田直子訳)

デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる 作者:メアリアン・ウルフ 出版社/メーカー: インターシフト (合同出版) 発売日: 2020/02/06 メディア: 単行本 Reader, Come Home: The Reading Brain in a Digital World …

精読メモ:『心にとって時間とは何か』(青山拓央 著)

以下は、青山拓央著『心にとって時間とは何か』の読書会(2020年2月6日開催、@下北沢ダーウィンルーム)用に作成した、読書メモです。 【注】本メモには、丸山個人の解釈が多分に含まれ、著者の意図を曲解している点も多数あるかもしれません。メモの内容に…

聴講メモ:機械学習と公平性に関するシンポジウム

「機械学習と公平性に関するシンポジウム」に参加してきた。大ホールが半分以上(?)埋まるほどの盛況ぶりで、平日夜の開催だったとはいえ、ここまで関心が高いとは意外だった。メディア関係者も多く来ていたようなので、しっかりとしたレポートはそのうち…

読書メモ:地球に降り立つ(ブルーノ・ラトゥール著、川村久美子訳)…気候変動に政治的に立ち向かう私たちの「敵」

地球に降り立つ: 新気候体制を生き抜くための政治 作者:ブルーノ ラトゥール 出版社/メーカー: 新評論 発売日: 2019/12/20 メディア: 単行本 年始から、気候変動のことを考えてしまう。 テレビを見ていても、いろんなことが気になる。台風やゲリラ豪雨などの…

今年読んだ本で振り返る2019年

例年、「今年読んだ本で一年を振り返る」記事を書いている。今年は余裕はないかもと思ったが、まとめておかないと後々不便なので、何とか書いてしまおう。 今回はブックリストというよりは、「2019年末に考えていたこと」についての個人的な記録になりそうだ…

読書メモ:〈現実〉とは何か(西郷甲矢人・田口茂 著)…固着した探究から、自由な探究へ

〈現実〉とは何か (筑摩選書) 作者:西郷 甲矢人,田口 茂 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/12/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) 著者は、数理物理学者の西郷甲矢人氏と、現象学者の田口茂氏。分野も世代も違う二人だが、あとがきによれば両者は9…

読書メモ:The Physicist & the Philosopher (by Jimena Canales)…アインシュタインとベルクソンは時間をめぐって何を争ったのか

The Physicist & the Philosopher: Einstein, Bergson, and the Debate That Changed Our Understanding of Time 作者:Jimena Canales 出版社/メーカー: Princeton Univ Pr 発売日: 2015/05/26 メディア: ハードカバー 科学史家ヒメナ・カナレス(Jimena Can…

【再掲】読書メモ:21世紀の啓蒙(スティーブン・ピンカー)

21世紀の啓蒙 上: 理性、科学、ヒューマニズム、進歩 作者:スティーブン・ピンカー 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2019/12/18 メディア: 単行本 21世紀の啓蒙 下: 理性、科学、ヒューマニズム、進歩 作者:スティーブン・ピンカー 出版社/メーカー: 草思社…

読書メモ:心にとって時間とは何か(青山拓央 著)…性急で、たぶん蛇足な第一印象としての感想と称揚

心にとって時間とは何か (講談社現代新書) 作者:青山 拓央 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2019/12/11 メディア: 新書 待ちに待った、青山拓央先生の時間本が出た。出たのが今日だ。さっそく読んだ。読み終えて即、感想を書こうとしている。そのことに、後…

思考整理メモ:数学の有効性は不合理か

「自然科学における、数学の不合理なまでの有効性(”The unreasonable effectiveness of mathematics in the natural sciences”)」について考えてみたい。これは、20世紀の物理学者ユージン・ウィグナーによる有名なフレーズだ。この言葉を聞いたことがなく…

聴講メモ:『〈現在〉という謎』刊行記念 森田邦久×平井靖史トークイベント

2019年11月9日、代官山蔦屋書店にて、『〈現在〉という謎』刊行記念トークイベントが行われた。 企画したのは、勁草書房および蔦屋書店人文書コンシェルジュの宮台由美子氏。会場の雰囲気やトークの概要は、宮台さんの実況ツイートを見るとよくわかると思う…

読書メモ:情動はこうしてつくられる(リサ・フェルドマン・バレット 著、高橋洋 訳)

情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論 作者: リサ・フェルドマン・バレット,高橋洋 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2019/10/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 情動(emotion)の研究を続けてきた心理学者・…

読書メモ:川と国土の危機(高橋裕 著)

川と国土の危機――水害と社会 (岩波新書) 作者: 高橋裕 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2012/09/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 河川利用を専門に研究している、友人の坂本貴啓さんに紹介いただいた本。著者の高橋裕氏は1927年生ま…

思考整理メモ:「本など書く暇があったら研究したい」研究者に、それでも本を書いてほしい編集者の弁

理工系の研究者に本を書いてもらい、出版の手助けをするのが私の仕事である。しかし、理工系研究者*1たちからは、 本を書く時間なんてとてもないよ 本を書く暇があったら研究をしたい という声を聞くことが多々あり、その頻度は年々増えているように思われる…

物理学者と哲学者は「時間」を語ってどうすれ違うのか…『〈現在〉という謎』を読んで

〈現在〉という謎: 時間の空間化批判 作者: 森田邦久 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2019/09/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 物理学者と哲学者によるシンポジウムをもとに企画された論考集。各章では時間論、とくに「現在」の概念を巡…

読書メモ(勉強モード):Understanding Scientific Understanding(by Henk W. de Regt)~理解できないものを理解するために、まずは理解を理解する~

科学というのは、その成り立ちや動作原理が未知の対象――宇宙、生命、脳など――を「理解する」ための営みと言える。だが、ときに「科学的に理解するとはどういうことなのか」がわからなくなることがある。本ブログでは、一貫してそれについて考えてきた。 どう…

非研究者として『在野研究ビギナーズ』を読んで考えたこと

今月出た『在野研究ビギナーズ』を読んだ。大学や研究機関に籍を置かない14名の「在野」研究者たちが、自身の日々(生活と研究の両立)について、そして自身の研究観について綴った一冊。 ともかく著者たちは皆、腹が据わっている。自分のやりたいことが明確…

続・どうすれば脳を「理解」できるのか: 分かり方は一つじゃない~脳理解の多元主義へ~

文章:丸山隆一(@rmaruy) (注)本記事は鈴木力憲さんと書いた「どうすれば脳を「理解」できるのか:「コンピュータチップの神経科学」の続編ですが、本記事の筆者は丸山一人です。鈴木さんとの議論から多くのヒントを得ているものの、基本的には個人の考…

読書メモ:情動の哲学入門(信原幸弘 著)…世界はあらかじめエモいのか

情動の哲学入門: 価値・道徳・生きる意味 作者: 信原幸弘 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2017/11/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 最近、怒りっぽくなっている。家族からの何気ない一言にカッとなり、会社で投げかけられた自分…

脳と機械をつないでいいのか? ~「BMIの倫理」の議論をもう一度始める~

先月、イーロン・マスク氏が率いるNeuralink社の発表が話題を呼びました。 これは、同社が開発した脳とコンピュータをつなぐ技術、いわゆるブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の最新の成果に関するものでした。細いファイバー状の電極を、ロボット技…

猛暑日の夜に人生を振り返って苦々しく思うこと

今日は暑かった。ここ数年、暑いのが怖い。暑いから冷房の効いた部屋に閉じこもるわけだけど、その冷房が世界をさらに暑くしているのは明白で、「暑いでしょうけど、こっちを冷やすので電力が限界なので、そちらでは冷房は使えません」という日はいつかくる…

読書メモ:機械翻訳と未来社会(瀧田、西島、羽成、瀬上)…壁はなくならない、でも言語は変わるかも

機械翻訳と未来社会 -言語の壁はなくなるのか 作者: 瀧田寧,西島佑,羽成拓史,瀬上和典 出版社/メーカー: 社会評論社 発売日: 2019/07/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る いま、機械翻訳が熱い。 ここ数年、翻訳エンジンの性能…

読書メモ:解離をめぐる2冊(柴田雅俊『解離性障害』、岡野憲一郎『解離新時代』)

解離性障害にまつわる本を二冊読んだ。 解離性障害―「うしろに誰かいる」の精神病理 (ちくま新書) 作者: 柴山雅俊 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2007/09/01 メディア: 新書 購入: 6人 クリック: 48回 この商品を含むブログ (18件) を見る 解離新時代―…

読書メモ:哲学の誕生(納富信留 著)…無知の知から、不知の自覚へ

「無知の知」という言葉に、ずいぶん助けられてきたように思う。 私は、極度にものを知らない人間だ。ものごころついて以来、わけがわかったためしがない。25歳くらいまで、なぜか「バジル」と「しそ」が同じ野菜だと思っていた。小学生のころからお前の服装…