重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

読書メモ、探求メモなど。

学問について考える

読書メモ(勉強モード):Understanding Scientific Understanding(by Henk W. de Regt)~理解できないものを理解するために、まずは理解を理解する~

科学というのは、その成り立ちや動作原理が未知の対象――宇宙、生命、脳など――を「理解する」ための営みと言える。だが、ときに「科学的に理解するとはどういうことなのか」がわからなくなることがある。本ブログでは、一貫してそれについて考えてきた。 どう…

非研究者として『在野研究ビギナーズ』を読んで考えたこと

今月出た『在野研究ビギナーズ』を読んだ。大学や研究機関に籍を置かない14名の「在野」研究者たちが、自身の日々(生活と研究の両立)について、そして自身の研究観について綴った一冊。 ともかく著者たちは皆、腹が据わっている。自分のやりたいことが明確…

読書メモ(勉強モード):なぜ科学は多元的であるべきなのか(Hasok Chang, "Is Water H2O?", 第5章)

Is Water H2O?: Evidence, Realism and Pluralism (Boston Studies in the Philosophy and History of Science Book 293) (English Edition) 作者: Hasok Chang 出版社/メーカー: Springer 発売日: 2012/05/23 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件…

視聴メモ:「科学と科学哲学――はたして科学に哲学は必要なのか?」…必要、ただし困ったときだけ(?)

先週の金曜日、下記のイベントが行われた。 伊勢田哲治×三中信宏 司会=山本貴光「科学と科学哲学――はたして科学に哲学は必要なのか?」@ゲンロンカフェ 2019年2月22日 科学哲学者の伊勢田哲治先生(以下、伊勢田氏)と、生物系統学を専門とする三中信宏先…

どんな問いが人を研究に駆り立てるのか(ケース:9年前の自分の場合)

私が常に興味があることに一つに、「研究者がどんなモチベーションで研究に向かっているのか」というのがある。何かの「専門」をもつ人と話すとき、「なぜその分野を選んだんですか?」と必ず聞いてしまう。相手がその道四十年の教授であっても、研究室に配…

読書メモ:「人工知能」前夜(杉本舞 著)…本気の科学史からAIを考える

「人工知能」前夜 作者: 杉本舞 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2018/10/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 1940~1960年代の計算機科学と人工知能の研究史をたどった一冊。著者の杉本舞氏は20世紀の科学技術史、とくに1930~1950年代のコン…

読書メモ:文系と理系はなぜ分かれたのか(隠岐さや香 著)

文系と理系はなぜ分かれたのか (星海社新書) 作者: 隠岐さや香 出版社/メーカー: 星海社 発売日: 2018/08/26 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る なぜだか知らないけれど、僕らは人を文系と理系に分ける。僕の父は理系で母は文系。僕自身は…

読書メモ:Lost in Math(by Sabine Hossenfelder)……美の追求が、物理学を袋小路に追い込んだのか?

Lost in Math: How Beauty Leads Physics Astray 作者: Sabine Hossenfelder 出版社/メーカー: Basic Books 発売日: 2018/06/12 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る 直訳に近い日本語のタイトルをつけるとしたら、『数学に迷い込んで――美の…

読書メモ:数学がいまの数学になるまで(Zvi Artstein著)

数学がいまの数学になるまで 作者: Zvi Artstein,落合卓四郎,植野義明 出版社/メーカー: 丸善出版 発売日: 2018/03/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 人生で何度か、「数学は好き?」と聞かれたことがある。 そのたび、困っ…

読書メモ:数学セミナー(2018年4月号)…人はなぜ数学するのか?

数学セミナー 2018年 04 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 日本評論社 発売日: 2018/03/12 メディア: 雑誌 この商品を含むブログ (1件) を見る 今回は雑誌の感想です。 『数学セミナー』の最新号、特集テーマが「なぜ数学を学ぶのか」。 自分で数学をするよりも…

読書メモ:近代日本150年―科学技術総力戦体制の破綻(山本義隆 著)

近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻 (岩波新書) 作者: 山本義隆 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2018/01/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 今年は、明治維新から150年目だという。言われてみれば、という感じだ。 150年と…

(簡易的)読書メモ:文学問題(F+f)+(山本貴光 著)

文学問題(F+f)+ 作者: 山本貴光 出版社/メーカー: 幻戯書房 発売日: 2017/11/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 以下は、とある会合の「おすすめの本の紹介文」として書いた文章。初読の印象だけの感想なのですが、記録のためにここに…

読書メモ:Mathematics Without Apologies(by M. Harris)…数学者のパトスとは?

Mathematics Without Apologies: Portrait of a Problematic Vocation (Science Essentials) 作者: Michael Harris 出版社/メーカー: Princeton Univ Pr 発売日: 2015/01/18 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る マイケル・ハリス(Micheal H…

思考整理メモ:科学コミュニケーションから考える量子力学の解釈問題(後編)

中編からの続きです。 量子力学の解釈問題について、いまの専門家たちは何と言っているか(続き) ●「うまくいっているのだから、認めよう」派 筆者は、大学2年生のときに、はじめて量子力学の講義を受けました。 その講義の先生は「量子力学にはいろいろと…

思考整理メモ:科学コミュニケーションから考える量子力学の解釈問題(中編)

前編からの続きです。 はじめに、「量子力学の解釈問題」のあらましを簡単に振り返っておきたいと思います。 量子力学では、なぜ「解釈」が必要になったのか? 前編にも書きましたが、量子力学には「解釈」があります。 考えてみれば不思議です。物理学の「…

思考整理メモ:科学コミュニケーションから考える量子力学の解釈問題(前編)

ノーベル物理学賞が発表されたばかりで、世間的には「重力波」がトレンドなのかもしれませんが、今回は「量子力学」がテーマです。とくに「量子力学の解釈問題」について、近頃考えたことを書いてみたいと思います。 量子力学について、みんな違う意見を持っ…

読書メモ:佐藤文隆先生の量子論(佐藤文隆 著)

佐藤文隆先生の量子論 干渉実験・量子もつれ・解釈問題 (ブルーバックス) 作者: 佐藤文隆 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/09/20 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 突然ですが、量子力学の解釈問題についてどう思いますか? ……と聞かれて、…

読書メモ:我々みんなが科学の専門家なのか?(ハリー・コリンズ 著、鈴木俊洋 訳)

我々みんなが科学の専門家なのか? (叢書ウニベルシタス) 作者: ハリーコリンズ,Harry Collins,鈴木俊洋 出版社/メーカー: 法政大学出版局 発売日: 2017/04/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 書名が面白い。『我々みんなが科学の専門家…

読書メモ:科学報道の真相(瀬川至朗 著)

科学報道の真相: ジャーナリズムとマスメディア共同体 (ちくま新書1231) 作者: 瀬川至朗 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2017/01/05 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る もと新聞記者で今は大学でジャーナリズムを教える著者が、日本の科…

聴講メモ:松葉舎 開校記念イベント

今日はこの会に参加してきた。 江本伸悟さんが今年から立ち上げた私塾・松葉舎(しょうようしゃ)の、開校記念イベント。江本さんの10年来の学友である森田真生さんなど、ゆかりの人々も集まって、4時間の講演会が行われた。 まずは、江本さんによる塾設立の…

読書メモ:学術書の編集者(橘宗吾 著)

学術書の編集者 作者: 橘宗吾 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会 発売日: 2016/07/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 学術書とは何か、学術書の編集とはどんな仕事なのかについて、名古屋大学出版会の編集長が綴った一冊。タイトル…

読書メモ:「文系学部廃止」の衝撃

「文系学部廃止」の衝撃 (集英社新書) 作者: 吉見俊哉 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2016/02/17 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 大学に文系は必要なのか? 白状すると、「必要ないかも」と思っていた時期があった。理系の自分からみ…

読書メモ: What Kind of Creatures Are We?  (by Noam Chomsky)

What Kind of Creatures Are We? (Columbia Themes in Philosophy) 作者: Noam Chomsky 出版社/メーカー: Columbia Univ Pr 発売日: 2015/12/15 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る チョムスキーの新刊を読んでみた。袖の紹介文には“written…

読書メモ:日本語が亡びるとき

増補 日本語が亡びるとき: 英語の世紀の中で (ちくま文庫) 作者: 水村美苗 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2015/04/08 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る 冒頭数ページを読んで、「あれ?」と思った。 真面目な評論の本を手に取ったつも…