物理学
励起 上――仁科芳雄と日本の現代物理学 作者:伊藤憲二 みすず書房 Amazon 励起 下――仁科芳雄と日本の現代物理学 作者:伊藤憲二 みすず書房 Amazon 日本の物理学者、仁科芳雄(1890~1951年)の伝記である。 上下巻、2段組ハードカバーで合計1000ページ*1に迫…
数学に魅せられて、科学を見失う――物理学と「美しさ」の罠 作者:ザビーネ・ホッセンフェルダー 発売日: 2021/04/09 メディア: Kindle版 ”Lost in Math"の待望の翻訳。原書の読書メモを再掲します。Sabine Hossenfelder氏は、物理学者にして科学ライター。中…
〈現実〉とは何か (筑摩選書) 作者:西郷 甲矢人,田口 茂 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/12/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) 著者は、数理物理学者の西郷甲矢人氏と、現象学者の田口茂氏。分野も世代も違う二人だが、あとがきによれば両者は9…
The Physicist & the Philosopher: Einstein, Bergson, and the Debate That Changed Our Understanding of Time 作者:Jimena Canales 出版社/メーカー: Princeton Univ Pr 発売日: 2015/05/26 メディア: ハードカバー 科学史家ヒメナ・カナレス(Jimena Can…
「自然科学における、数学の不合理なまでの有効性(”The unreasonable effectiveness of mathematics in the natural sciences”)」について考えてみたい。これは、20世紀の物理学者ユージン・ウィグナーによる有名なフレーズだ。この言葉を聞いたことがなく…
2019年11月9日、代官山蔦屋書店にて、『〈現在〉という謎』刊行記念トークイベントが行われた。 企画したのは、勁草書房および蔦屋書店人文書コンシェルジュの宮台由美子氏。会場の雰囲気やトークの概要は、宮台さんの実況ツイートを見るとよくわかると思う…
〈現在〉という謎: 時間の空間化批判 作者: 森田邦久 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2019/09/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 物理学者と哲学者によるシンポジウムをもとに企画された論考集。各章では時間論、とくに「現在」の概念を巡…
科学というのは、その成り立ちや動作原理が未知の対象――宇宙、生命、脳など――を「理解する」ための営みと言える。だが、ときに「科学的に理解するとはどういうことなのか」がわからなくなることがある。本ブログでは、一貫してそれについて考えてきた。 どう…
ブラックホールと時空の方程式:15歳からの一般相対論 作者: 小林晋平 出版社/メーカー: 森北出版 発売日: 2018/12/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 私は大学では主に物理学を学んだのだが、「一般相対論」は4年間のカリキュラムの最…
(追記)本記事公開後、ベルクソン研究者の平井靖史先生と議論をさせていただきました。平井先生のブログもぜひご覧ください。 過去の保存問題hiraiya.wordpress.com === 「探究メモ:脳科学は記憶の仕組みをどこまで解明したのか」シリーズ、「番外編そ…
Lost in Math: How Beauty Leads Physics Astray 作者: Sabine Hossenfelder 出版社/メーカー: Basic Books 発売日: 2018/06/12 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る 直訳に近い日本語のタイトルをつけるとしたら、『数学に迷い込んで――美の…
この宇宙の片隅に ―宇宙の始まりから生命の意味を考える50章― 作者: ショーン・キャロル,松浦俊輔 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2017/11/27 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る またもや物理学者が書いた大きな本が出た。それ…
中編からの続きです。 量子力学の解釈問題について、いまの専門家たちは何と言っているか(続き) ●「うまくいっているのだから、認めよう」派 筆者は、大学2年生のときに、はじめて量子力学の講義を受けました。 その講義の先生は「量子力学にはいろいろと…
前編からの続きです。 はじめに、「量子力学の解釈問題」のあらましを簡単に振り返っておきたいと思います。 量子力学では、なぜ「解釈」が必要になったのか? 前編にも書きましたが、量子力学には「解釈」があります。 考えてみれば不思議です。物理学の「…
ノーベル物理学賞が発表されたばかりで、世間的には「重力波」がトレンドなのかもしれませんが、今回は「量子力学」がテーマです。とくに「量子力学の解釈問題」について、近頃考えたことを書いてみたいと思います。 量子力学について、みんな違う意見を持っ…
時間とはなんだろう 最新物理学で探る「時」の正体 (ブルーバックス) 作者: 松浦壮 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/09/20 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 現役の素粒子物理学者による、講談社ブルーバックスの新刊。「時間」の話が軸には…
佐藤文隆先生の量子論 干渉実験・量子もつれ・解釈問題 (ブルーバックス) 作者: 佐藤文隆 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/09/20 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 突然ですが、量子力学の解釈問題についてどう思いますか? ……と聞かれて、…
物理学は世界をどこまで解明できるか―真理を探究する科学全史 作者: マルセロ・グライサー,藤田貢崇 出版社/メーカー: 白揚社 発売日: 2017/06/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「このまま物理学の勉強(あるいは研究)を続けて、自分はどこ…
先日、youtube配信されていた以下の対談を観ました。 この動画、個人的にはとても面白くて、下記のツイートで紹介しました。 宇宙物理学者の柴田氏の「倫理学への不満」に、伊勢田哲治先生がガチで答えるという対談。文理のディスコミュニケーションが、これ…
エントロピーの正体 作者: アリー・ベン=ナイム,小野嘉之 出版社/メーカー: 丸善出版 発売日: 2015/12/24 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る エントロピーという概念には、好奇心を引きつける力がある。 含蓄のある物理量だ。「…
認識とパタン (1978年) (岩波新書) 作者: 渡辺慧 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1978/01/20 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 32回 この商品を含むブログ (6件) を見る 先日『知るということ』を読み直したのをきっかけに、渡辺慧の著作をいろいろと…
知るということ 認識学序説 (ちくま学芸文庫) 作者: 渡辺慧 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2011/06/10 メディア: 文庫 クリック: 10回 この商品を含むブログ (1件) を見る 5年前にちくま学芸文庫から出されたこの本。 院生のときに読んでいたのだが、…
ライプニッツの情報物理学 - 実体と現象をコードでつなぐ (中公叢書) 作者: 内井惣七 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2016/02/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 物理学で一番の謎はなにか? そう聞かれたら、僕なら「ダークエ…
週末,nothの主催する講座『花と宇宙』に行ってきた.物理学者の江本さんと小林先生による2部構成のトークイベント.江本さんは寺田寅彦の「椿の花の落下」についての研究を紹介され,小林先生の宇宙物理学の最先端について話された.「花」と「宇宙」という…
ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学 作者: アレックス・ペントランド,矢野和男,小林啓倫 出版社/メーカー: 草思社 発売日: 2015/09/17 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る MITのメディアラボに勤める著者が,「社会(…