2021-01-01から1年間の記事一覧
2021年を振り返りたいのだが、とにかく頭がごちゃごちゃしている。今年はたぶん人生でいちばん家にいた(去年を更新)。なのに、むしろだからこそ、大量の情報に触れた。書籍、YouTube動画、podcast、ツイート、Clubhouse。受け止め切れない量の情報が自分を…
イノベーション概念の現代史 作者:ブノワ・ゴダン 名古屋大学出版会 Amazon 「イノベーション」という言葉を聞くと、少し身構える――そんな人は多いのではないだろうか。私もその一人。日常会話で使いにくい言葉だと思う。ある事業なり活動なりが「イノベーシ…
今日の科学技術は、「イノベーション」と切り離せなくなっている。 「イノベーション」とは、技術や知識、アイディアの新しい組み合わせによって、経済活動の前提に変化をもたらすこと。資本主義社会にとって、継続的なイノベーションは必要条件なだけでなく…
学術出版の来た道 (岩波科学ライブラリー 307) 作者:有田 正規 岩波書店 Amazon 何気なく手に取ったこの本、非常に面白く、ためになる内容だった。タイトルに「学術出版」とあるが、「学術書」というよりは「学術誌」(いわゆる「ジャーナル」)が主題だ。 …
テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論 作者:W・ブライアン・アーサー みすず書房 Amazon 長年サンタフェ研究所に籍を置き、「複雑系経済学」の牽引者として知られるW・ブライアン・アーサー氏による著作。原書が2009年、翻訳が2011年に出ている…
不定性からみた科学―開かれた研究・組織・社会のために― 作者:吉澤 剛 名古屋大学出版会 Amazon 科学の語りがたさを語る教科書 科学とは何か。科学で何がわかるのか。自分たちにどんな恩恵があるのか。どうやって推進すべきなのか。誰が責任をもつのか。大…
記憶と人文学: 忘却から身体・場所・もの語り、そして再構築へ 作者:三村尚央 小鳥遊書房 Amazon 実家にいたころ、私の母は、毎日欠かさず一行日記をつけていた。それが全部手元にあるので、「何年の何月何日は〇〇していたよ」などと瞬時に調べてみせるのだ…
Atlas of AI: Power, Politics, and the Planetary Costs of Artificial Intelligence 作者:Crawford, Kate 発売日: 2021/04/06 メディア: ハードカバー AI(人工知能)は福音か、脅威か。 どうすれば、私たちはAIとよりよく付き合っていけるのか。 そうした…
計算する生命 作者:森田 真生 発売日: 2021/04/15 メディア: 単行本 『数学する身体』*1から5年、森田真生さんの新刊『計算する生命』。著者の書くものに触発され続けてきた一人として、固唾を呑んで発行を待っていた。 「すがすがしさ」と、難しさ 期待にた…
マスターアルゴリズム 世界を再構築する「究極の機械学習」 作者:ペドロ・ドミンゴス 発売日: 2021/04/22 メディア: Kindle版 原書の発行から5年半。『The Master Algorithm』の待望の翻訳が出ました。まさかの縦書き。機械学習の入門書として、強くお勧めで…
数学に魅せられて、科学を見失う――物理学と「美しさ」の罠 作者:ザビーネ・ホッセンフェルダー 発売日: 2021/04/09 メディア: Kindle版 ”Lost in Math"の待望の翻訳。原書の読書メモを再掲します。Sabine Hossenfelder氏は、物理学者にして科学ライター。中…
The Science of Science 作者:Wang, Dashun,Barabási, Albert-László 発売日: 2021/03/25 メディア: ハードカバー ネットワーク科学の第一人者として知られるラズロ・バラバシと、組織論を研究するDashun Wangによる共著書。タイトルのScience of Science(…
筆者が探究テーマとしている「神経科学の哲学」と「記憶の設計学」に関してあれこれ考えているなか、「発注」という概念が、一つのキーワードが浮かび上がってきました。以下は、そのスケッチ的なメモです。本記事で少しでも手ごたえが得られれば、徐々に肉…
2021年1月14日に、佐倉統著『科学とはなにか』(講談社ブルーバックス、2020年12月刊)のオンライン読書会を開催した。著者と担当編集者を含む30名弱の方々に参加いただき、個人的にはとても有意義な会だった。 以下、開催の記録・感想をまとめておく。 読書…