重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

読書メモ、探究メモなど。

人工知能

開催記録:オンライン勉強会「AI科学を哲学する?」(w/高木史郎さん)

2024年4月4日に、独立研究者の高木史郎さんとともに、オンライン勉強会「AI科学を哲学する?」を開催しました。以下はその簡単な記録です。 開催の経緯 発端は、昨年末に高木さんがArxivに投稿されたプレプリント論文でした。機械学習の研究者として、自律的…

読書メモ:The Worlds I See (by Fei-Fei Li) 米国アカデミア屈指のAI研究者の半生

The Worlds I See: Curiosity, Exploration, and Discovery at the Dawn of AI (English Edition) 作者:Li, Fei-Fei Flatiron Books: A Moment of Lift Book Amazon 近年の人工知能分野を牽引している研究者と言えばOpenAIやAnthropicなどのスタートアップ、…

読書メモ:Atlas of AI(Kate Crawford 著)...AI産業のもう一つの姿

Atlas of AI: Power, Politics, and the Planetary Costs of Artificial Intelligence 作者:Crawford, Kate 発売日: 2021/04/06 メディア: ハードカバー AI(人工知能)は福音か、脅威か。 どうすれば、私たちはAIとよりよく付き合っていけるのか。 そうした…

【再掲】読書メモ:マスターアルゴリズム(ペドロ・ドミンゴス)

マスターアルゴリズム 世界を再構築する「究極の機械学習」 作者:ペドロ・ドミンゴス 発売日: 2021/04/22 メディア: Kindle版 原書の発行から5年半。『The Master Algorithm』の待望の翻訳が出ました。まさかの縦書き。機械学習の入門書として、強くお勧めで…

思考整理メモ:「受注」する脳 ~「発注モデル」から考える「AIの自律性」と脳の計算パラダイムの向こう側~

筆者が探究テーマとしている「神経科学の哲学」と「記憶の設計学」に関してあれこれ考えているなか、「発注」という概念が、一つのキーワードが浮かび上がってきました。以下は、そのスケッチ的なメモです。本記事で少しでも手ごたえが得られれば、徐々に肉…

新刊紹介:機械翻訳(ティエリー・ポイボー著、高橋聡 訳、中澤敏明 解説)…機械翻訳の実像を捉える、ユーザーのための一冊

筆者が企画・編集で携わった翻訳書、『機械翻訳:歴史・技術・産業』の紹介記事です。同書は2020年9月29日前後の発売予定です。 機械翻訳:歴史・技術・産業 作者:ティエリー・ポイボー 発売日: 2020/09/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) 「機械翻訳」――…

読書メモ:心を知るための人工知能(谷口忠大 著)

心を知るための人工知能: 認知科学としての記号創発ロボティクス (越境する認知科学) 作者:忠大, 谷口 発売日: 2020/06/09 メディア: 単行本 「記号創発ロボティクス」を掲げ、その旗振り役として分野をけん引するAI研究者、谷口忠大氏による最新著。 共立出…

脳と機械をつないでいいのか? ~「BMIの倫理」の議論をもう一度始める~

先月、イーロン・マスク氏が率いるNeuralink社の発表が話題を呼びました。 これは、同社が開発した脳とコンピュータをつなぐ技術、いわゆるブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の最新の成果に関するものでした。細いファイバー状の電極を、ロボット技…

読書メモ:機械翻訳と未来社会(瀧田、西島、羽成、瀬上)…壁はなくならない、でも言語は変わるかも

機械翻訳と未来社会 -言語の壁はなくなるのか 作者: 瀧田寧,西島佑,羽成拓史,瀬上和典 出版社/メーカー: 社会評論社 発売日: 2019/07/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る いま、機械翻訳が熱い。 ここ数年、翻訳エンジンの性能…

思考整理メモ:これからのAI技術を迎え撃つのに必要なのは「生成モデルの哲学」?

人工知能について、ここしばらく考えていることを書きます。 言いたいのは、 これからの人工知能を考えるに際して、「生成モデルの哲学」が必要なんじゃないか? ということです。試論というか、妄想というか、素人のたわごとレベルですが、何かの思考の糧に…

読書メモ:AI社会の歩き方(江間有沙 著)…AIと社会について、誰が・どこで・何を話しているのか

AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか (DOJIN選書) 作者: 江間有沙 出版社/メーカー: 化学同人 発売日: 2019/02/28 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 本ブログの2016年末の記事「人工知能をトランスサイエンス問題として考…

読書メモ:機械カニバリズム(久保明教 著)…「AIは人間を超えるか」談義をそろそろやめるべき理由

機械カニバリズム 人間なきあとの人類学へ (講談社選書メチエ) 作者: 久保明教 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/09/12 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る 人工知能ブームが終わりかけている。 AI関連本を何冊か企画…

読書メモ:「人工知能」前夜(杉本舞 著)…本気の科学史からAIを考える

「人工知能」前夜 作者: 杉本舞 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2018/10/19 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 1940~1960年代の計算機科学と人工知能の研究史をたどった一冊。著者の杉本舞氏は20世紀の科学技術史、とくに1930~1950年代のコン…

読書メモ: あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠(キャシー・オニール著)

あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠 作者: キャシー・オニール,久保尚子 出版社/メーカー: インターシフト 発売日: 2018/06/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 原書タイトルは"Weapons of Math Destruction"。 「…

文献メモ:ディープラーニングを人間の学習に近づける(Lake et al. 2017を読んで)

論文を一つ紹介します。 Lake, Brenden M., et al. "Building machines that learn and think like people." Behavioral and Brain Sciences 40 (2017). https://cims.nyu.edu/~brenden/LakeEtAl2017BBS.pdf ニューヨーク大学のBrenden Lake、MITのJoshua Te…

読書メモ:自動人形の城(川添愛 著)

自動人形の城(オートマトンの城): 人工知能の意図理解をめぐる物語 作者: 川添愛 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 2017/12/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る また出ました。『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』に…

思考整理メモ:人工知能をトランスサイエンス問題として考えてみる

2016年も、やはり人工知能ブームがすごかった。 理工書出版の世界でもやはり影響も大きくて、一つの技術の話題でこれだけの数の本が出るというのは、ちょっと例がないのではないかと思う。国会図書館のサイトにて「人工知能」をキーワードに「本」を検索して…

読書メモ:精霊の箱(川添愛 著)

精霊の箱 上: チューリングマシンをめぐる冒険 作者: 川添愛 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 2016/10/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 精霊の箱 下: チューリングマシンをめぐる冒険 作者: 川添愛 出版社/メーカー: 東京大…

読書メモ:情報社会の〈哲学〉(大黒岳彦 著)

情報社会の〈哲学〉: グーグル・ビッグデータ・人工知能 作者: 大黒岳彦 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2016/08/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 月刊誌『現代思想』(青土社)などに発表された五つの論考に、書き下ろしの章を加えた単…

聴講メモ:『人工知能のための哲学塾』刊行記念イベント

昨晩はこちらのイベントに参加してきました。 www.bnn.co.jp 人工知能のための哲学塾 作者: 三宅陽一郎 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社 発売日: 2016/08/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (3件) を見る この本のもとになった「人工知能のた…

読書メモ(再掲):人間さまお断り(ジェリー・カプラン)

人間さまお断り 作者: ジェリー・カプラン,安原和見 出版社/メーカー: 三省堂 発売日: 2016/08/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 昨年の夏、原書で読んだ本。翻訳が出たので、感想文を再掲します。タイトルの訳し方は上手いですね。 *** H…

読書メモ:ビッグデータと人工知能(西垣通 著)

ビッグデータと人工知能 - 可能性と罠を見極める (中公新書) 作者: 西垣通 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2016/07/20 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る どんな技術革新の「ブーム」にも、それに油を注ぐ(あおる)人と、水を掛けて火消し…

読書メモ:人工知能と経済の未来(井上智洋 著)

人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (文春新書 1091) 作者: 井上智洋 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/07/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る ここ数年AIブームで出てきた二つの懸念、つまり 人工知能が高度になりすぎて、制御不能…

思考整理メモ:人工知能ブームのあとにくるもの

祝日の昨日、トークイベントに行ってきた。またも人工知能の話だ。 ICC ONLINE | オープン・サロン スペシャル・トーク「シンギュラリティ:人工知能から超知能へ」 最近すっかり「人工知能」という言葉に敏感になっていて、読む本もブログに書くのも、気づ…

思考整理メモ:「強いAI/弱いAI」の区別とは結局何なのか?

めずらしく本以外のことを書いてみたい. テーマは「強いAI」(strong AI)と「弱いAI」(weak AI)について. 今日,会社で上司に呼ばれて「強いAIと弱いAIの違いって何なの?」と聞かれて,社内で人工知能に詳しいことになっている私なので,「それはですね〜…

読書メモ:The Master Algorithm (by Pedro Domingos)

最近,機械学習が盛り上がっている.理工系出版社に勤めていることもあり,普通の人より強くそれを感じていると思う.機械学習の本はとにかく売れる.その売れ方はちょっと異様なほどで,他の分野の新刊がどれも残念な部数しか売れないのに,機械学習本だけ…

読書メモ:Humans Need Not Apply

Humans Need Not Apply: A Guide to Wealth and Work in the Age of Artificial Intelligence 作者: Jerry Kaplan 出版社/メーカー: Yale University Press 発売日: 2015/08/04 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 人工知能の危険性を指摘する本…