科学コミュニケーション
久しぶりの投稿は、仕事(業務外)の記録。 日経サイエンス2023年10月号 [雑誌] 日経サイエンス Amazon 科学雑誌『日経サイエンス』の2023年10月号(8月発売号)の、二つの記事に関わらせていただいた。 1)「脳とAI 溶ける境界 大規模言語モデルが開く脳の…
The Battle for Your Brain: Defending the Right to Think Freely in the Age of Neurotechnology (English Edition) 作者:Farahany, Nita A. St. Martin's Press Amazon 脳から情報をとる、脳に直接働きかける。5年前なら「未来の話」だったであろうニュー…
学術出版の来た道 (岩波科学ライブラリー 307) 作者:有田 正規 岩波書店 Amazon 何気なく手に取ったこの本、非常に面白く、ためになる内容だった。タイトルに「学術出版」とあるが、「学術書」というよりは「学術誌」(いわゆる「ジャーナル」)が主題だ。 …
不定性からみた科学―開かれた研究・組織・社会のために― 作者:吉澤 剛 名古屋大学出版会 Amazon 科学の語りがたさを語る教科書 科学とは何か。科学で何がわかるのか。自分たちにどんな恩恵があるのか。どうやって推進すべきなのか。誰が責任をもつのか。大…
数学に魅せられて、科学を見失う――物理学と「美しさ」の罠 作者:ザビーネ・ホッセンフェルダー 発売日: 2021/04/09 メディア: Kindle版 ”Lost in Math"の待望の翻訳。原書の読書メモを再掲します。Sabine Hossenfelder氏は、物理学者にして科学ライター。中…
科学とはなにか 新しい科学論、いま必要な三つの視点 (ブルーバックス) 作者:佐倉 統 発売日: 2020/12/17 メディア: 新書 2020年はとくに「科学とはなにか?」を考えたくなる一年だった。 感染症対策で専門家会議や分科会が組織され、連日テレビには様々な科…
※下記は、ここしばらく考えていることをまとめた、ラフスケッチとしての文章です。まだまだ考えが至らない点があると思いますので、ご批判・コメントをいただければ大変幸いです。 ※誤植修正や表現の改善等の微修正は今後も行う予定です(4/22) 科学の二面…
〈現実〉とは何か (筑摩選書) 作者:西郷 甲矢人,田口 茂 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2019/12/13 メディア: 単行本(ソフトカバー) 著者は、数理物理学者の西郷甲矢人氏と、現象学者の田口茂氏。分野も世代も違う二人だが、あとがきによれば両者は9…
The Physicist & the Philosopher: Einstein, Bergson, and the Debate That Changed Our Understanding of Time 作者:Jimena Canales 出版社/メーカー: Princeton Univ Pr 発売日: 2015/05/26 メディア: ハードカバー 科学史家ヒメナ・カナレス(Jimena Can…
2019年11月9日、代官山蔦屋書店にて、『〈現在〉という謎』刊行記念トークイベントが行われた。 企画したのは、勁草書房および蔦屋書店人文書コンシェルジュの宮台由美子氏。会場の雰囲気やトークの概要は、宮台さんの実況ツイートを見るとよくわかると思う…
〈現在〉という謎: 時間の空間化批判 作者: 森田邦久 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2019/09/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 物理学者と哲学者によるシンポジウムをもとに企画された論考集。各章では時間論、とくに「現在」の概念を巡…
今月出た『在野研究ビギナーズ』を読んだ。大学や研究機関に籍を置かない14名の「在野」研究者たちが、自身の日々(生活と研究の両立)について、そして自身の研究観について綴った一冊。 ともかく著者たちは皆、腹が据わっている。自分のやりたいことが明確…
先月、イーロン・マスク氏が率いるNeuralink社の発表が話題を呼びました。 これは、同社が開発した脳とコンピュータをつなぐ技術、いわゆるブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の最新の成果に関するものでした。細いファイバー状の電極を、ロボット技…
AI社会の歩き方―人工知能とどう付き合うか (DOJIN選書) 作者: 江間有沙 出版社/メーカー: 化学同人 発売日: 2019/02/28 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 本ブログの2016年末の記事「人工知能をトランスサイエンス問題として考…
先週の金曜日、下記のイベントが行われた。 伊勢田哲治×三中信宏 司会=山本貴光「科学と科学哲学――はたして科学に哲学は必要なのか?」@ゲンロンカフェ 2019年2月22日 科学哲学者の伊勢田哲治先生(以下、伊勢田氏)と、生物系統学を専門とする三中信宏先…
海を撃つ――福島・広島・ベラルーシにて 作者: 安東量子 出版社/メーカー: みすず書房 発売日: 2019/02/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る とある方からプレゼントいただいて、この本を読んだ。著者の名前は知らなかった。というか、これが一体…
Mind-Body Problems: Science, Subjectivity & Who We Really Are (English Edition) 作者: John Horgan 発売日: 2018/09/05 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る 『サイエンティフィック・アメリカン』誌のライターとして有名な、ジョン・ホーガ…
中編からの続きです。 量子力学の解釈問題について、いまの専門家たちは何と言っているか(続き) ●「うまくいっているのだから、認めよう」派 筆者は、大学2年生のときに、はじめて量子力学の講義を受けました。 その講義の先生は「量子力学にはいろいろと…
前編からの続きです。 はじめに、「量子力学の解釈問題」のあらましを簡単に振り返っておきたいと思います。 量子力学では、なぜ「解釈」が必要になったのか? 前編にも書きましたが、量子力学には「解釈」があります。 考えてみれば不思議です。物理学の「…
ノーベル物理学賞が発表されたばかりで、世間的には「重力波」がトレンドなのかもしれませんが、今回は「量子力学」がテーマです。とくに「量子力学の解釈問題」について、近頃考えたことを書いてみたいと思います。 量子力学について、みんな違う意見を持っ…
2016年も、やはり人工知能ブームがすごかった。 理工書出版の世界でもやはり影響も大きくて、一つの技術の話題でこれだけの数の本が出るというのは、ちょっと例がないのではないかと思う。国会図書館のサイトにて「人工知能」をキーワードに「本」を検索して…
今年度、北大CoSTEPを受講している。(集中演習についてこの前少し書いた。) CoSTEPは「科学コミュニケーター」を養成することを目的とするプログラムなのだが、この「科学コミュニケーター」あるいは「科学コミュニケーション」という言葉は、ちょっとわか…
先日、youtube配信されていた以下の対談を観ました。 この動画、個人的にはとても面白くて、下記のツイートで紹介しました。 宇宙物理学者の柴田氏の「倫理学への不満」に、伊勢田哲治先生がガチで答えるという対談。文理のディスコミュニケーションが、これ…
このまえの三連休、北海道大学に行ってきました。北大の科学技術コミュニケ―ション教育プログラム(=CoSTEP)の集中演習として開講されたライティング演習に参加するためです。2泊3日で、科学ライティングの考え方や技術について学びました。 当日の様子…
先日お会いした、とある物理学者の先生が、「物理学者どうしの『議論』というものについて、いまひとつ理解されていないと感じる」というようなことを言っていた。 自分のアイディアを相手にぶつけ、アイディアの未熟な部分を指摘してもらって、より良いもの…