退屈なことはPythonにやらせよう ―ノンプログラマーにもできる自動化処理プログラミング
- 作者: Al Sweigart,相川愛三
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2017/06/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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就職してから5年半、「プログラミングを覚えたら仕事が楽になるかな?」と思うタイミングが何度かあり、PerlとExcelVBAの習得を試みたものの、途中でめんどくさくなり結局ものになりませんでした。今回、Pythonで3度目の挑戦に踏み切るきっかけになったのが、本書『退屈なことはPythonにやらせよう』でした。
約一月かけて、会社の休憩時間に読み進め、のべ16時間ほど取り組みました。なお、後半の14~18章は「とりいそぎは使わないかも」と判断したため未読です。
一言でいうと、とてもよくできた、ありがたい本だと感じました。優れているのは、まず、扱われているプロジェクトが読者(=ノンプログラマー)のやりたいことに即している点。フォルダの名前を一括変更したり、pdfを連結したり、Webサイトからjpegファイルをまとめてダウンロードしたり、普段「これ自動化できないものかな?」と思っているようなことを解決するコードを学べるので、読み進めるモチベーションが維持できました。もう一つは、自分でコードを書けるようになるための工夫が凝らされている点。長めのコードも、それを書くときに発想に立って丁寧に解説しているので、無理なく追っていけました。また各章の演習問題の難易度がちょうどよく、うまく動いたときには「できた!」という達成感がありました。そして何より、「Pythonと自分のスキルでどれくらいのことができそうか」という見通しが得られたのが、本書を読んでの一番の収穫だったと思います。
本書を読み終えれば、PythonでのWebスクレイピングの本を読んだり、もう少し日本語のpdfを扱えるモジュールを試してみたりなど、次のステップにも自然に進んでいけそうです。個人的には、自分の実務で動かせるようなコードをちょこちょこ書いていきたいです。
他言語も含めまったくのプログラミング初心者にとっては、躓く箇所はあるかもしれません。その場合でも、身近に助け合える仲間がいるならば、本書はベストチョイスではないかと思います。
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「AIによる生産性向上」などが叫ばれる昨今、本当は「ノンプログラマーがちょっとしたコーディングを身に着ける」ことが実は効果が一番大きいのではないかと思います。その意味でも、素人のレベルまで降りてきてくれる本書のような技術書は心底ありがたいな、と思います。