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読書メモなど

読書メモ:会社の中はジレンマだらけ(本間浩輔・中原淳 著)

 

北大CoSTEPの講義で本間浩輔さんの話を聞く機会があり、興味深かったので近著を購読した。

ヤフー株式会社の人事の責任者の本間氏と、企業での教育を専門とする研究者の中原氏による対談形式のビジネス書。「仕事を部下に振るべきか、自分でやるべきか」「パフォーマンスが賃金に見合わない社員をどうするか」「転職すべきか、すべきでないか」などといった中間管理職の抱える悩みを切り口に、日本企業の人事制度や人材育成の問題点にまで話を広げていくという構成になっている。

二人の著者の前提にあるのが「現代の社会人は学び続けなければならない」という考え方だった。人材育成の分野では「経験学習」というのがキーワードになっているそうで、いかに新しいことに挑んでスキルを上げていくかというのが一大テーマになっているらしい。本間氏自身、業務の傍ら四つの修士号を取ったというからすごい。こう聞くと「意識高い」とか「自己啓発マニア」とみなされる傾向にあるような気もするが、企業教育の専門家や人事部長レベルでは、もはや学びは「全員にマスト」だという視点があるのが本書を読むと分かる。

すごいなあと感心したのは、ヤフーで本間氏が導入した「1on1ミーティング」というもの。これは上司が部下の一人ひとりと週1回30分のミーティングをするというものだそうで、部下のモチベーションを把握したうえで、フィードバックを与えたり、仕事のアサインを決めたりするのだという。部下と上司のコミュニケーションの頻度を高めることで、「会社の利益のベクトルと、部下がやりたいと思っていることのベクトルを30度くらいの範囲に合わせていくこと」が理想だと本間氏は語っている。もしこんな考え方が全社に根付いているのだとしたら、働き手にとって相当魅力的な会社だなと思えた。

中間管理職を想定した本ではあるが、ビジネススクール的なところでどんなことが話題になっているのか、ヤフーのような先進的な企業の人事を舵取りする人が今どんなことを考えているかを知ることは、これからの働き方を考える一企業人として有益だと思う。手軽に読めるのでお勧めです。