重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

読書メモ、探究メモなど。

読書メモ:記憶と人文学(三村尚央)…記憶の何が私/私たちにとって切実なのか

記憶と人文学: 忘却から身体・場所・もの語り、そして再構築へ 作者:三村尚央 小鳥遊書房 Amazon 実家にいたころ、私の母は、毎日欠かさず一行日記をつけていた。それが全部手元にあるので、「何年の何月何日は〇〇していたよ」などと瞬時に調べてみせるのだ…

読書メモ:Atlas of AI(Kate Crawford 著)...AI産業のもう一つの姿

Atlas of AI: Power, Politics, and the Planetary Costs of Artificial Intelligence 作者:Crawford, Kate 発売日: 2021/04/06 メディア: ハードカバー AI(人工知能)は福音か、脅威か。 どうすれば、私たちはAIとよりよく付き合っていけるのか。 そうした…

読書メモ:計算する生命(森田真生 著)

計算する生命 作者:森田 真生 発売日: 2021/04/15 メディア: 単行本 『数学する身体』*1から5年、森田真生さんの新刊『計算する生命』。著者の書くものに触発され続けてきた一人として、固唾を呑んで発行を待っていた。 「すがすがしさ」と、難しさ 期待にた…

【再掲】読書メモ:マスターアルゴリズム(ペドロ・ドミンゴス)

マスターアルゴリズム 世界を再構築する「究極の機械学習」 作者:ペドロ・ドミンゴス 発売日: 2021/04/22 メディア: Kindle版 原書の発行から5年半。『The Master Algorithm』の待望の翻訳が出ました。まさかの縦書き。機械学習の入門書として、強くお勧めで…

【再掲】読書メモ:数学に魅せられて、科学を見失う(サビーネ・ホッセンフェルダー)

数学に魅せられて、科学を見失う――物理学と「美しさ」の罠 作者:ザビーネ・ホッセンフェルダー 発売日: 2021/04/09 メディア: Kindle版 ”Lost in Math"の待望の翻訳。原書の読書メモを再掲します。Sabine Hossenfelder氏は、物理学者にして科学ライター。中…

読書メモ:The Science of Science (Dashun Wang, Albert-László Barabási) …「科学的生産性の科学」の到達地点

The Science of Science 作者:Wang, Dashun,Barabási, Albert-László 発売日: 2021/03/25 メディア: ハードカバー ネットワーク科学の第一人者として知られるラズロ・バラバシと、組織論を研究するDashun Wangによる共著書。タイトルのScience of Science(…

思考整理メモ:「受注」する脳 ~「発注モデル」から考える「AIの自律性」と脳の計算パラダイムの向こう側~

筆者が探究テーマとしている「神経科学の哲学」と「記憶の設計学」に関してあれこれ考えているなか、「発注」という概念が、一つのキーワードが浮かび上がってきました。以下は、そのスケッチ的なメモです。本記事で少しでも手ごたえが得られれば、徐々に肉…

開催記録メモ:2021/1/14『科学とはなにか』(佐倉統 著)オンライン読書会

2021年1月14日に、佐倉統著『科学とはなにか』(講談社ブルーバックス、2020年12月刊)のオンライン読書会を開催した。著者と担当編集者を含む30名弱の方々に参加いただき、個人的にはとても有意義な会だった。 以下、開催の記録・感想をまとめておく。 読書…

2020年の一冊:『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』

2020年もあと数時間。COVID-19の日次感染者数は指数関数の上昇カーブのさなかにある大晦日の今日は、何かを「振り返る」タイミングには向いていないのかもしれない。とはいえ年が変わる。まがりなりも時間に句点(読点?)を打っておきたい。 今年は、どんな…

読書メモ:科学とはなにか(佐倉統 著)…科学技術を「生態系」として語る

科学とはなにか 新しい科学論、いま必要な三つの視点 (ブルーバックス) 作者:佐倉 統 発売日: 2020/12/17 メディア: 新書 2020年はとくに「科学とはなにか?」を考えたくなる一年だった。 感染症対策で専門家会議や分科会が組織され、連日テレビには様々な科…