重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

読書メモ、探究メモなど。

読書メモ:情動はこうしてつくられる(リサ・フェルドマン・バレット 著、高橋洋 訳)

情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論 作者: リサ・フェルドマン・バレット,高橋洋 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店 発売日: 2019/10/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 情動(emotion)の研究を続けてきた心理学者・…

読書メモ:川と国土の危機(高橋裕 著)

川と国土の危機――水害と社会 (岩波新書) 作者: 高橋裕 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2012/09/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 河川利用を専門に研究している、友人の坂本貴啓さんに紹介いただいた本。著者の高橋裕氏は1927年生ま…

思考整理メモ:「本など書く暇があったら研究したい」研究者に、それでも本を書いてほしい編集者の弁

理工系の研究者に本を書いてもらい、出版の手助けをするのが私の仕事である。しかし、理工系研究者*1たちからは、 本を書く時間なんてとてもないよ 本を書く暇があったら研究をしたい という声を聞くことが多々あり、その頻度は年々増えているように思われる…

物理学者と哲学者は「時間」を語ってどうすれ違うのか…『〈現在〉という謎』を読んで

〈現在〉という謎: 時間の空間化批判 作者: 森田邦久 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2019/09/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 物理学者と哲学者によるシンポジウムをもとに企画された論考集。各章では時間論、とくに「現在」の概念を巡…

読書メモ(勉強モード):Understanding Scientific Understanding(by Henk W. de Regt)~理解できないものを理解するために、まずは理解を理解する~

科学というのは、その成り立ちや動作原理が未知の対象――宇宙、生命、脳など――を「理解する」ための営みと言える。だが、ときに「科学的に理解するとはどういうことなのか」がわからなくなることがある。本ブログでは、一貫してそれについて考えてきた。 どう…

非研究者として『在野研究ビギナーズ』を読んで考えたこと

今月出た『在野研究ビギナーズ』を読んだ。大学や研究機関に籍を置かない14名の「在野」研究者たちが、自身の日々(生活と研究の両立)について、そして自身の研究観について綴った一冊。 ともかく著者たちは皆、腹が据わっている。自分のやりたいことが明確…

続・どうすれば脳を「理解」できるのか: 分かり方は一つじゃない~脳理解の多元主義へ~

文章:丸山隆一(@rmaruy) (注)本記事は鈴木力憲さんと書いた「どうすれば脳を「理解」できるのか:「コンピュータチップの神経科学」の続編ですが、本記事の筆者は丸山一人です。鈴木さんとの議論から多くのヒントを得ているものの、基本的には個人の考…

読書メモ:情動の哲学入門(信原幸弘 著)…世界はあらかじめエモいのか

情動の哲学入門: 価値・道徳・生きる意味 作者: 信原幸弘 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2017/11/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 最近、怒りっぽくなっている。家族からの何気ない一言にカッとなり、会社で投げかけられた自分…

脳と機械をつないでいいのか? ~「BMIの倫理」の議論をもう一度始める~

先月、イーロン・マスク氏が率いるNeuralink社の発表が話題を呼びました。 これは、同社が開発した脳とコンピュータをつなぐ技術、いわゆるブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の最新の成果に関するものでした。細いファイバー状の電極を、ロボット技…

猛暑日の夜に人生を振り返って苦々しく思うこと

今日は暑かった。ここ数年、暑いのが怖い。暑いから冷房の効いた部屋に閉じこもるわけだけど、その冷房が世界をさらに暑くしているのは明白で、「暑いでしょうけど、こっちを冷やすので電力が限界なので、そちらでは冷房は使えません」という日はいつかくる…