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読書メモなど

読書メモ:マインドフル・ワーク

 

マインドフル・ワーク 「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える

マインドフル・ワーク 「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える

 

「マインドフルネス」という言葉を本当によく聞くようになった。試しにアマゾンで検索してみたら、なんと287件もヒットした。しかもそのほとんどはここ2,3年の本。すごいブームだ。

マインドフルネスとは「今に集中した心の状態」のことで、ストレス低減のための心理療法として1970年代のアメリカで提唱されたそうだ。仏教にルーツがあるものの、基本的には宗教から切り離されたものだという。毎朝5分瞑想するだけ人からインドの山奥に数ヶ月間こもって瞑想する人まで、レベルはいろいろあるが「マインドフルネス」の実践が広がっている。本書は、なかでもとくに浸透が激しいアメリカのIT企業での万度フルネスのブームを報告している。著者は、Financial Timesで勤めたこともある経済系のライター。自分自身も学生時代からの瞑想の実践者であることもあり、基本的にはマインドフルネスのブームを好ましいものというスタンスで書いている。

ちょっと信じられないことだが、いまアメリカでは、昼休みにみんなで瞑想したり、瞑想レッスンを提供する企業が出てきたりしているという。瞑想の効果を実感した経営者が、それを社内に広めていくケースが多いようだが、実際に、瞑想を実践する経営者はかなりいるらしい。スティーブ・ジョブスがヨガをやっていたことは知っていたが、「プレゼンの前には一人で瞑想の時間を作っていた」というのをこの本で初めて知った。

「呼吸に集中する」とか「心が彷徨うのを意識する」など、やることはシンプルに聞こえる。でも効果は絶大で、うつ病を予防したり体調をよくしたりすることに加えて、仕事の生産性を上げる効果も実証されているという。科学的にも研究が進められていて、「扁桃体の活動を抑えられる」ことなども分かってきている。また、この本では、ブームの反動としてマインドネスが受ける様々な批判も紹介している。単に礼賛するだけでない、バランスの取れた本だった。

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「たしかにマインドフルネスすごいね!」と思う一方、「瞑想したらいろいろ調子がよくなるのは当たり前かも」とも思う。日本人は昔から座禅を組んできたわけで、夏目漱石の『門』の主人公だって、自分の罪の意識から逃れるためにすがったのが座禅だった。とはいえ、「マインドフル」という精神状態のラベルをつくったことで、意識したり伝達したりしやすくなったのは大きいかなと思う。ともあれ、生産性や効率性を追求したあげくに、東洋的な「瞑想」に行きついたというのが逆説的で面白い。

でも、会社でみんなで瞑想レッスンをするというのはどうなのか…。

そんなことする前に、労働時間とか賃金の面で従業員のストレスを減らして欲しいと僕なら思う。