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読書メモ:『内向型を強みにする』

こちらのブログ:rmaruy_blogから引っ越してきました。

 

面白い本を読んだので紹介します。

内向型を強みにする (フェニックスシリーズ)

内向型を強みにする (フェニックスシリーズ)

  • 作者: マーティ・O・レイニー
  • 出版社/メーカー: パンローリング
  • 発売日: 2013/07/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「内向型」と呼ばれるタイプの人向けの、自己啓発書です。

内向型というのは、心理学で人格を分類するための切り口の一つで、次のような項目に当てはまる人のことを指すそうです。

・自分ひとりか、二、三人の親しい友達とくつろぐほうが好ましい。

・深くつきあっている人だけを友達だと思っている。

・たとえ楽しいことでも、外で何かしたあとは、休息をとる必要がある。

・聞き役になることが多いが、自分にとって重要なテーマについてはたくさん話す。

・無口で冷静に見え、観察するのが好きである。

英語だと"introvert"。反対語は外向型(extrovert)。始めて聞く言葉でしたが、ネットで検索すると多くヒットすることからも、わりと市民権のある概念のようです。

 

本書では、内向型と外向型の人の違いをまず説明し、その違いをもたらす脳の構造や働きの差について進んできている研究も紹介されます。また、後半の章では、著者の買うセリングの経験をふまえて、内向型の人が楽に生きていくためのアドバイスや、内向型の子供や配偶者をもつ人に対してのアドバイスが書かれています。

 

外向型と内向型の人の比率は3:1くらいだそうなので、内向型もマイノリティではあるが決して珍しくはない存在と言えます。内向型の人は、感情が外に現れないために「内気だ」「社交性がない」「共感能力がない」「やる気がない」などと思われがちだが、それは誤解だと著者は言います。内向型の人と外向型の人の違いは、共感能力や体力などではなく、「どのような活動から元気(著者の言葉で言うと「エネルギー」)を得るかの違い」にあり、外向型が外界からの刺激(会話・新しい出会い)を元気の源にしているのに対し、内向型は一人の時間から充足感を得る。内向型の人は、もともと「自分の頭の中の思考」という刺激に常にさらされているため、外界からのインプットが過剰になるとすぐに消耗してしまい、それゆえ人との交わるのが苦手なように見えるのだそうです。ただ、内向型のこうした特性にもメリットがあり(現に科学者や政治家などのなかにも内向型の人が実は多い)、その人の特性にあった刺激の量をうまく調整するのがよい、というのがこの本の趣旨でした。

 

この本を読んでまず思ったのは、どうやら自分が「内向型」の典型だということ。「人と話していると思考が停止することがある」「パーティーに行くと消耗することが分かっているので、参加すべきかどうかについて事前にすごく迷う」など、自分のことを言い当てられているよう。また、内向型の傲慢な点である「なぜもっと深く考えないのだろうと、他人に対して思いがち」などもぴったりでした。思い当たる節が多すぎて、軽く衝撃を受けました。

 

もう一つ思ったのは、内向型/外向型の衝突で悩んでいる人は少なくないだろうな、ということ。思ってみれば、小説などの題材でもかなり多いのではないでしょうか。すぐに思いついた例で言えば、松本大洋の漫画『ピンポン』は内向型と外向型の二人の主人公の友情の話だし、三浦しをん作『船を編む』の「内向型が強みを発揮する」ところに爽快感のある話と言えそう。ほかにも、町田康の『告白』の主人公は自分の内的思考の暴走を止められなくなって発狂していく超内向型。村上春樹にいたっては、全作品が内向型の主人公(外部からの刺激を、自分の中で丁寧に整理していく主人公)の話ではないでしょうか。(その意味で、もし「村上春樹が好きな自分が嫌い」という人がいるとすれば、その人は「外向型でありたいと願う内向型」である可能性が高いのかも。まったくの妄想ですが...)

 

一冊読んだだけなので、どれくらい科学になっているのかは判断できません。ドーパミン放出量の違いなど脳科学的なことも書いてありましたが、それをもとに内向型/外向型をくっきり分けられるほどではない印象でした。そして、内向型/外向型の違いがどれくらい生得的なものなのか(内向型の人も「頑張れば」外向型に生まれ変わることは本当にできないのか)についても、この本だけではよく分かりません。「努力すれば直せるはずの“弱さ”に、実体のないラベルを貼っただけだ」と思う人がいたとしてもおかしくはないかもしれません。でも個人的には(自分の経験に照らして)納得できる部分が多かったので、自分を内向型として規定してしまうのにやぶさかではなく、本書のアドバイスに従ってみたいと思いました。

 

著者とは別の人ですが、こんなTEDトークもありました。

www.ted.com