重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

読書メモ、探究メモなど。

小説・エッセイ

読後感メモ:『惑う星』(リチャード・パワーズ 著)

惑う星 作者:リチャード・パワーズ 新潮社 Amazon Twitterに書く程度の感想になるが、ネタバレを含むかもしれないのでここに置いておく。 Richard Powersの『惑う星』、倫理的障壁のようなものを感じて躊躇していたが、予想より自分にとってrelatableな内容…

読書メモ:記憶と人文学(三村尚央)…記憶の何が私/私たちにとって切実なのか

記憶と人文学: 忘却から身体・場所・もの語り、そして再構築へ 作者:三村尚央 小鳥遊書房 Amazon 実家にいたころ、私の母は、毎日欠かさず一行日記をつけていた。それが全部手元にあるので、「何年の何月何日は〇〇していたよ」などと瞬時に調べてみせるのだ…

日々の雑記メモ:イチロー引退会見と、森田真生『数学の贈り物』のこと

イチローが引退した。ここ数日、自分の心をそのことが占めている。 木曜日、偶然見ていた野球中継で、その日が彼の現役最後の日となることを知る。結局、深夜の引退会見までぶっ通しで見た。驚いたことその1。イチローが自分にとって思った以上に大きい存在…

読書メモ:地球にちりばめられて(多和田葉子)

地球にちりばめられて 作者: 多和田葉子 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/04/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 面白かった。 以下は、印象をとどめておくためのメモ。 * 舞台はヨーロッパ。多国籍の若者たちが出会い、意図せず…

読書メモ:工学部ヒラノ教授の終活大作戦(今野浩 著)

工学部ヒラノ教授の終活大作戦 作者: 今野浩 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2018/01/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログを見る 2013年に『工学部ヒラノ名誉教授の告白』を読んだとき、私は少し焦った。いつものようにユーモアたっ…

読書メモ:自動人形の城(川添愛 著)

自動人形の城(オートマトンの城): 人工知能の意図理解をめぐる物語 作者: 川添愛 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 2017/12/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る また出ました。『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』に…

読書メモ:スター・ウォーズによると世界は(キャス・サンスティーン 著,山形浩生 訳)…意外と真剣な本?(個人的な意味で)

スター・ウォーズによると世界は 作者: キャス・R.サンスティーン,Cass R. Sunstein,山形浩生 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/11/21 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 帯には「ハーバード大学ロースクールの名物教授が贈る画期…

読書メモ:騙し絵の牙(塩田武士 著)

騙し絵の牙 作者: 塩田武士,大泉洋 出版社/メーカー: KADOKAWA 発売日: 2017/08/31 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 主人公は、大泉洋が扮する敏腕編集者。自身が編集長を務める雑誌の廃刊を食い止めるべく、八面六臂の活躍をするというストー…

読書メモ:工学部ヒラノ教授のはじまりの場所(今野浩 著)

工学部ヒラノ教授のはじまりの場所 ―世田谷少年交差点物語― 作者: 今野浩 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2017/06/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「出身高校は?」「都立日比谷高校です。」「あの日比谷ですか!」「そうです、『昔は』…

読書メモ:工学部ヒラノ教授の中央大学奮戦記(今野浩 著)

工学部ヒラノ教授の中央大学奮戦記 作者: 今野浩 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2017/03/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 大学事情に多少通じている人なら知っているように、国立大学の(偉い)先生は、定年になるとたいてい私立大学に移…

読書メモ:精霊の箱(川添愛 著)

精霊の箱 上: チューリングマシンをめぐる冒険 作者: 川添愛 出版社/メーカー: 東京大学出版会 発売日: 2016/10/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 精霊の箱 下: チューリングマシンをめぐる冒険 作者: 川添愛 出版社/メーカー: 東京大…

読書メモ:工学部ヒラノ教授とおもいでの弁当箱(今野浩 著)

工学部ヒラノ教授とおもいでの弁当箱 作者: 今野浩 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2016/10/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 最近は、昼飯を外で食べることにしている。以前は会社で仕出し弁当を食べていたのだが、ハンバーグ・焼き魚・コ…

読書メモ:不屈の棋士(大川慎太郎 著)

不屈の棋士 (講談社現代新書) 作者: 大川慎太郎 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2016/07/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (4件) を見る 将棋の現役プロ棋士に将棋AIにまつわる意見を聞いたインタビュー集。 自分はとくに将棋ファンでもなく、電王…

読書メモ:コンビニ人間

コンビニ人間 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/07/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 先日の芥川賞受賞作。 人には、自分に理解できない行動原理を持つ人を不気味に思う性質がある。不気味がるだけなら良いの…

読書メモ:ひとを愛することができない(中島義道 著)

ひとを愛することができない―マイナスのナルシスの告白 (角川文庫) 作者: 中島義道 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2007/02 メディア: 文庫 購入: 8人 クリック: 45回 この商品を含むブログ (45件) を見る たまに、中島義道氏の著作が読みたくなる。先日…

読書メモ:リップヴァンウィンクルの花嫁

リップヴァンウィンクルの花嫁 作者: 岩井俊二 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/12/04 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 心から面白いと思える小説に、近ごろ出会えていなかった。 「面白そうだな」と思って読み始めても、なぜか…

読書メモ:工学部ヒラノ教授の介護日誌

理系の研究者が書く本というのは、科学現象の原理を噛み砕いたものや、最技術のしくみを平易に解説したものなど、そのほとんどが研究対象について書かれたものだ。一方、研究者自身の、それも研究以外の仕事や人間関係にスポットが当たることは珍しい。その…

読書メモ:家族の哲学(坂口恭平)

家族の哲学 作者: 坂口恭平 出版社/メーカー: 毎日新聞出版 発売日: 2015/09/24 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る 著者のことを何も知らずに,装丁に惹かれて書店で手にとったこの小説. 鬱病に悩む主人公「恭平」とその家族のやりとり…

読書メモ:職業としての小説家

職業としての小説家 (Switch library) 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング 発売日: 2015/09/10 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (8件) を見る 村上春樹の自伝的エッセイ。「こんなに書いてくれるんだ」と思うほど饒舌かつ率直に…

読書メモ:ゼンデギ(ネタバレあり)

Zendegi 作者: Greg Egan 出版社/メーカー: Gollancz 発売日: 2011/07/01 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る グレッグ・イーガンの『ゼンデギ』。 ※読んだ上で思ったことを書いています。これから楽しみたい方はご注意ください。

読書メモ:工学部ヒラノ教授と昭和のスーパー・エンジニア

工学部ヒラノ教授と昭和のスーパー・エンジニア -森口繁一という天才- 作者: 今野浩 出版社/メーカー: 青土社 発売日: 2015/06/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 「ヒラノ教授シリーズ」の新刊。いったい何冊目になるのだろう…。 今回の主人…

読書メモ:Logicomix

"Logicomix"という本を読んでみた.初版は2009年と少し前の作品. ある方に教えていただき,英語版を購入した(日本語には翻訳されていないらしい). Logicomix: An Epic Search for Truth 作者: Apostolos Doxiadis,Christos H. Papadimitriou 出版社/メー…