重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

読書メモ、探究メモなど。

探究メモ:脳科学は記憶の仕組みをどこまで解明したのか? 〈第3回:記憶はシナプスに宿るという統一見解〉

前回は「エングラム」という概念を紹介しました。記憶の研究者たちは、一貫して、このエングラム、つまり脳の中の記憶の物理的実体を探してきました。 エングラムの所在についての「統一見解」 では、エングラムの所在について、現在の脳科学はどう考えてい…

探究メモ:脳科学は記憶の仕組みをどこまで解明したのか? 〈第2回:エングラムとは何か〉

前回はフォン・ノイマンの著作を取り上げ、彼が「脳の「記憶装置」は何か?」を問うたことを紹介しました。ノイマンはコンピュータから発想したので、「記憶装置」(原文だとおそらく単に“memory”=メモリ)という言い方をしていましたが、神経科学の本でよ…

探究メモ:脳科学は記憶の仕組みをどこまで解明したのか? 〈第1回:フォン・ノイマンの考えたこと〉

見切り発車ぎみにスタートした本連載ですが、何はともあれ書いていきたいと思います。 前回の「第0回」では、やりたいことの概要を説明しました。あらためて、本連載を通して分かりたいのは次のようなことです。 「過去のエピソードなどをヒトの脳が記憶する…

探究メモ:脳科学は記憶の仕組みをどこまで解明したのか? 〈第0回:連載を始めるにあたって〉

このブログは、筆者が趣味で読んだ本(たいていは一般向けの科学書・哲学書)の感想を中心に、備忘録として書いているものです。 このあと数回の投稿では、特定の本の紹介ではなく、ある一つのテーマの文献をあれこれ調べ、自分なりに分かったことを書いてい…

読書メモ(再掲):The Myth of Mirror Neurons (by Gregory Hickok)

The Myth of Mirror Neurons: The Real Neuroscience of Communication and Cognition 作者: Gregory, Ph.D. Hickok 出版社/メーカー: W W Norton & Co Inc 発売日: 2014/08/18 メディア: ハードカバー この商品を含むブログを見る 2014年に読んだこの本。著…

読書メモ:The Undoing Project (by Michael Lewis)

前から、ダニエル・カーネマンのことが気になっていた。 それは、おもに『ファスト&スロー』の著者としてだった。『ファスト&スロー』は2011年に出た本だが、当時印象的だったのは、これを読んだ人が、皆得意げに「システム1」だとか「○○バイアス」だとか…

聴講メモ:松葉舎 開校記念イベント

今日はこの会に参加してきた。 江本伸悟さんが今年から立ち上げた私塾・松葉舎(しょうようしゃ)の、開校記念イベント。江本さんの10年来の学友である森田真生さんなど、ゆかりの人々も集まって、4時間の講演会が行われた。 まずは、江本さんによる塾設立の…

再読メモ:日本の難点(宮台真司 著)

日本の難点 (幻冬舎新書) 作者: 宮台真司 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 2009/04 メディア: 新書 購入: 28人 クリック: 233回 この商品を含むブログ (228件) を見る ふと思い立って、8年ぶりに読み直したこの本。 社会学者の宮台真司氏が、経済・政治・教…

今年読んだ本で振り返る2016年

大晦日。ぼっーとしていると年が明けてしまうので、その前に、今年1年を振り返っておきたい。 たとえば10年後の自分は、2016年をどんな年として思い出すかと考えると、「トランプが大統領に決まった年」になりそうだ。案外、それに尽きているかも…。 でも、…

読書メモ:漱石のこころ(赤木昭夫 著)

漱石のこころ――その哲学と文学 (岩波新書) 作者: 赤木昭夫 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/12/21 メディア: 新書 この商品を含むブログを見る 夏目漱石ほど、作品が読まれた日本人の小説家はいない。漱石の作品が好きな人は多いが、その理由は人そ…